執筆者 |
岩成博夫 (コンサルティングフェロー/公正取引委員会) /川越敏司 (ファカルティフェロー/公立はこだて未来大学) /木村友二 (経済産業研究所) /松八重泰輔 (早稲田大学大学院経済学研究科) /瀧澤弘和 (研究員) |
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発行日/NO. | 2006年3月 06-J-014 |
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概要
本論文の目的は、2 国の市場にまたがって国際カルテルを形成している企業が存在する状況において両国の競争当局が直面する、政策選択に関する戦略的相互依存関係を分析することにある。各国の競争当局は、カルテル抑止の競争政策として、伝統的な取締り政策を遂行するか、それに加えてリニエンシー制度を採用するかを選択している。両国の競争政策の組み合わせのもとで、企業は両国市場で同時手番のゲームを無限回繰り返しプレーする。一方の国におけるカルテル活動の摘発を踏まえ、他国の競争当局も調査を開始する可能性があると仮定する。競争当局が持ちうる目的関数を様々に検討したところ、制裁金額を最大化する目的で行動する場合、一方の国のリニエンシー制度採用に他方の国がフリーライドする均衡が現われることが示される。