コーディネーション・システムとしての製品アーキテクチャ

執筆者 奥野正寛  (REITIファカルティフェロー / 東京大学大学院経済学研究科) /渡邊泰典  (東京大学21世紀COEものづくり経営研究センター)
発行日/NO. 2006年2月  06-J-007
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概要

Boldwin and Clark(2000)を契機に注目されるようになった、製品アーキテクチャ(architecture)という概念、特にモジュール型アーキテクチャという概念は、ユーザーが使う対象あるいはシステム開発の対象という視点から、製品システム を1つの「コーディネーション・システム」としてとらえていると考えられる。 本稿では製品アーキテクチャを、ユーザーの目的を達成するために部品間の複 雑な調整を必要とする「製品システム」の設計思想として定義し、モジュール 型アーキテクチャによって、(1)製品機能が明確化され、(2)ユーザーの命令と動作の 対応関係が明確化されることを示す。その結果、文脈依存型に行動する人間で あっても、高度に複雑化するシステムを操作・利用するだけでなく、分業と協 業を組み合わせながら新たなシステムを開発・設計することが可能になる。