予算はなぜ膨張するか、どう抑制するか:官僚のインセンティブの視点から

執筆者 角野然生  (コンサルティングフェロー) /瀧澤弘和  (研究員)
発行日/NO. 2004年3月  04-J-008
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概要

本論文は、日本の官僚組織・人事制度が現在の財政問題に対して与えている影響について論じる。財政改革を議論するに当たっては、その意思決定システムを構成する官僚のインセンティブの問題を取り上げることが不可欠と考えるからである。財政におけるコモンプール問題は、積上げ方式の予算決定プロセスを採用する他国でも一般的に観察されるものであるが、日本においては高度成長時代に、「仕切り性」と「非流動性」を特徴とする独自の官僚人事制度が確立し、それがコモンプール問題を悪化させていることを主張する。その上で、今後の改革の方途として、非流動人事システムが持つ自己革新性を利用して規律を回復するメカニズムを内在化させること、そのために予算業務における評価システムの改革と責任の明確化、人材の流動化が必要であることを述べる。