IPv6は必要か

執筆者 池田 信夫  (上席研究員) /共著  山田肇
発行日/NO. 2002年1月  02-J-002
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概要

政府の「e-Japan重点計画」では、IPv6 (Internet Protocol version 6)の普及を促進することが政策目標に掲げられている。その理由として、現在のIPアドレス(v4)が間もなく枯渇するとされるが、この推定には多くの疑問がある。実際には、アドレスはまだ半分以上残っており、しかもインターネットに接続して使われているのは全体のわずか3%である。現状のままでも今後15年は枯渇することは考えられず、使われていないアドレスを有効利用すれば、ほぼ無期限に利用できよう。またv4でも事実上無限のアドレスが利用可能であり、絶対的に不足することはありえない。機能的にも、今のところIPv6でしか実現できない重要なアプリケーションはなく、v6がブロードバンド時代の課題に答える本質的な技術革新かどうかは疑わしい。したがって現在の段階でIPv6の商用化を急ぐ必要はなく、とりわけ政府がそれを性急に推進することはインターネットの健全な発展を阻害する。