執筆者 |
児玉 俊洋 (上席研究員) |
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発行日/NO. | 2001年9月 01-J-004 |
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概要
現下の経済構造改革の必須課題である不良債権処理の推進に伴って、建設、流通等の特定産業からの離職者が増加することが予想される。特に、建設業を中心として異業種への転職を要する離職者が多く発生する可能性が高い。このような経済構造改革下で生ずる離職者の転職可能性を検討することは、経済構造改革の推進にとって重要な分析課題である。
このような分析のための手法として、我が国において、過去に異業種への転職を要する離職者を大量に発生した事例である炭鉱閉山の例に学ぶことが有益であると考えられる。本稿では、このような観点から、最近の大型閉山である三井三池炭鉱閉山に伴う炭鉱離職者の再就職状況を調査した。同炭鉱閉山に伴う炭鉱離職者の場合、再就職希望地の地理的限定性など再就職を難しくする求職事情等があったにも関わらず、有効求職者数等に対して80%の就職率を達成している。この事例は、労働者の転職可能性が、技能転換や技能修得を伴うものを含め、本人の再就職意欲が高い場合を中心として、十分に存在することを示している。