経済メカニズムとしてのインターネット

執筆者 池田 信夫
発行日/NO. 2000年2月  00-DOJ-99
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概要

インターネットは、情報通信の世界のみならず、経済システムの構造そのものに影響を与えつつある。第一に、それはさまざまな通信プロトコルを標準的なIPパケットに「カプセル化」することによって、国境を超えて情報を流通させる分散的なメカニズムを実現した。第二に、それは物理的な設備からアプリケーションを「アンバンドル」することによって、情報通信産業を階層分化させた。

こうした変化は1970年代後半から起こった金融の技術革新と同様、情報技術を多様化し、選択できる状態空間の次元を拡大して市場を「完備化」する機能を果たしている。それには状態空間そのものが正規化される必要があるが、インターネットではIETFなどの非営利の標準化機関がそのような役割を果たした。これは、仮想空間においては残余コントロール権を消費者に与えることによって効率が高まることを示唆している。