執筆者 | 中村 吉明 |
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発行日/NO. | 1998年1月 98-DOJ-86 |
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概要
本稿文は、1992年度に開発された産官共同研究プログラムのリアル・ワールド・プログラムの有効性を分析した。
本稿文で得られた結論は、以下のとおりである。
1.本プログラムの波及効果は、類似プログラムや国内の同分野の研究を行っている大学と比較して大きかった。
2.本プログラムは、集中研究所と各企業内に設立した分散研究所で研究開発を行ったが、それらは個別に研究開発を進めたため、共同研究により研究成果をあげていくという当初の意図は達成されなかった。
3.共同研究の中で起こる可能性のあるフリーライドは、本プログラムでは起こらなかった。
本プログラムは前期を終了したばかりなので、現段階で本プログラムを最終的に評価するのは不可能である。しかしながら、前期だけに限ってみると、本プログラムの研究成果は相対的にあがってはいるものの、技術研究組合を基本とする研究開発体制は、必ずしも適切ではなかったと推測される。今後、このような大規模な研究開発プログラムをおこなう際には、事前評価システムを構築し、その中で事前に、客観的なデータを用いプログラムの有効性を評価した上で、その研究開発にもっとも適した研究開発体制を選択すべきである。