プロジェクト概要
今期は国家資本主義の国際経済法を取り上げる。主に新興経済国が保有する国有企業(SOE)、そしてソブリンファンド(SWF)の出現により、従来の市場経済に対するものとは異なる国際的な規制枠組みを必要としている。しかし現状ではWTOやEPA、投資協定ではこの新しい事象に対する有効な国際貿易、投資、競争ルールが規定されておらず、新興国と先進国の哲学的対立ゆえに、この問題は目下交渉中のTPPでも最も合意困難な分野となっている。このプロジェクトでは、先行するOECDやIMFの成果、そして直近のTPPやTTIPにおける議論を踏まえて国家資本主義に関するルールの現状をサーベイし、最適な規制について規制枠組みのあり方や現行法の解釈・適用を提言する。
なお、このプロジェクトではその他に、前期間に引き続きWTO判例研究、文化メディア製品に関する国際貿易・投資の法的・経済的分析の研究を実施する。
プロジェクト期間: 2013年10月 7日 〜 2015年9月30日
主要成果物
2015年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 15-E-134
"Identifying Competition Neutrality of SOEs in China" (WATANABE Mariko) - 15-E-126
"How Does UNESCO's Convention on Cultural Diversity Affect Trade in Cultural Goods?" (JINJI Naoto and TANAKA Ayumu) - 15-E-125
"Discriminatory Application of Competition Law and International Investment Agreements" (TAMADA Dai) - 15-E-092
"State-owned Enterprise Reforms in the TPP Negotiation: Is it a win-win for Vietnam?" (LE Thi Anh Nguyet) - 16-J-011
「国有企業に対する国際規律―公正競争型ルールの進展―」 (東條 吉純) - 15-J-059
「国有企業・政府系ファンドに対する諸国の外資規制―開放性と安全保障の両立をいかにして図るか―」 (伊藤 一頼) - 15-J-058
「資源国有企業に対する競争法的規律:ガスプロム事件」 (武田 邦宣) - 15-J-042
「中国独占禁止法の運用動向―『外資たたき』及び『産業政策の道具』批判について―」 (川島 富士雄) - 15-J-033
「再生可能エネルギー補助金と相殺関税の経済分析-米中太陽電池貿易紛争の事例を中心に-」 (蓬田 守弘) - 15-J-026
「オーストラリアにおける競争中立性規律―TPP国有企業規律交渉への示唆―」 (川島 富士雄)
RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー
- 16-P-003
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑯】中国-レアアース等の輸出に関する措置(DS431, DS432, DS433)-輸出規制に対する規律に関する解釈の展開-」 (川島 富士雄) - 16-P-002
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑮】インド-鳥インフルエンザを理由とした特定農産品の輸入禁止(DS430)-地域主義に基づく衛生植物検疫措置の実施に向けて-」 (石川 義道) - 15-P-013
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑭】タイ-タバコ関税および内国税事件(フィリピン)(DS371)-輸入産品の競争機会を減少させる国内規制に対するGATT規律の厳格化-」 (小場瀬 琢磨) - 15-P-009
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑬】中国-電子決済サービスに関する措置(DS413)-GATSの規範構造の不完全性を中心に-」 (国松 麻季) - 15-P-008
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑫】カナダ-再生可能エネルギー発生セクターに関する措置(DS412)/カナダ-固定価格買取制度に関する措置(DS426)-公営企業および市場創設による政府介入への示唆-」 (川瀬 剛志) - 15-P-007
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑪】フィリピン-蒸留酒に対する課税(DS396, 403)-開発途上国における酒税制度と内国民待遇原則-」 (石川 義道) - 15-P-005
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑩】EC-アザラシ製品の輸入及び販売を禁止する措置(DS400, 401)-動物福祉のための貿易制限に対するWTO協定上の規律-」 (伊藤 一頼)