2020年東京五輪の経済効果を1984年以降の開催国から見る
~財政規律と国民意識変化が経済効果を最大化する~

中島 厚志
理事長

2020年オリンピックの東京開催が決まり、さっそくオリンピックの経済効果に期待が集まっている。オリンピック開催には大掛かりな準備とインフラ等の整備が不可欠であり、長期にわたって経済を下支えすることは言うまでもない。

1964年に開催された東京オリンピック時の景気をみても、開催1年前から潜在成長率(当時の日本経済が有していた潜在的な経済成長率)を最大2%ほど上回っている(図表1)。

図表1:日本:オリンピック前後のGDPギャップ
図表1:日本:オリンピック前後のGDPギャップ
(注)68SNAベース(旧資金循環系統)。
なお、GDPギャップは、実質GDPと潜在GDP(HPフィルターでトレンド推計して抽出)の乖離として計算
(出所)内閣府「国民経済計算」

当時の日本の潜在成長率は9%から10%程度であったと推計されるので、一時的とはいえ、この成長率をさらに2%も上振れる経済成長は、正に大型のオリンピック景気と言うにふさわしい。

しかし、オリンピック景気もよいことばかりではない。オリンピック後、大規模なインフラ整備や白黒テレビ普及の一段落で、日本は構造不況に突入している。図表1を見ても、オリンピック後長期にわたって経済成長率が潜在成長率を下回る事態となっている。

2020年東京オリンピックもこの構図は基本的に変わらないだろう。しかし、64年当時と2020年では日本経済の成熟度には大きな違いがあり、64年東京オリンピックの経験だけを当てはめて日本経済を推測するわけにはいかない。

そこで、2020年の東京オリンピックが日本経済にどのような効果をもたらすのかを、1984年以降のオリンピック開催国(※)がオリンピック前後にどのような景気状態や財政状態になったのかを手掛かりに推測してみたい。

(※)1984年アメリカ(ロサンゼルス)、1988年韓国(ソウル)、1992年スペイン(バルセロナ)、 1996年アメリカ(アトランタ)、2000年オーストラリア(シドニー)、2004年ギリシャ(アテネ)、2008年中国(北京)、2012年イギリス(ロンドン)。なお、1980年のソ連(モスクワ)は経済データが整わず、除外。

オリンピック景気は各国共通

1984年以降のオリンピック開催国でも、オリンピック前後で景気に上振れ/下振れが生じている。まず景気上振れだが、平均すると開催1年ほど前から最大1%あまり潜在成長率を上振れる成長推移となっている(図表2)。

図表2:オリンピック前後における開催国GDPギャップの推移
図表2:オリンピック前後における開催国GDPギャップの推移
[ 図を拡大 ]
(注)GDPギャップは開催国の平均値。また、横軸は開催時前後の四半期を示す
(出所)米国商務省経済分析局(BEA)、韓国銀行、Oxford Economics、オーストラリア統計局、イギリス国家統計局(ONS)

しかも、景気上振れは開催国の経済規模や経済成熟度の如何にかかわらず起きており、アメリカのように経済規模が大きな国でも景気が押し上げられている。また、ユーロ危機の中行われた2012年ロンドンオリンピックでも、開催期の経済成長は5年ぶりの高水準を記録している。

全文は「WEDGE Infinity」にて。

2013年9月25日 WEDGE Infinityに掲載

2013年10月3日掲載

この著者の記事