ポスト胡錦濤政権は経済成長の軸足を量から質へシフト
~「十八大」で指導者交代しても、中国経済の安定成長路線は不変~

中島 厚志
理事長

中国経済の成長鈍化が続いている。7月に発表された2012年4-6月期の実質GDP成長率は7.6%(前年同期比)となり、約3年ぶりに8%を下回った。また、消費者物価上昇率も7月には1.8%(前年同月比)と、2年半ぶりに2%を下回った。

足元の中国経済への大きな関心のひとつは、中国経済の成長が鈍化したままとなるのか、それともふたたび加速するのかにある。中国を取り巻く世界経済の減速も踏まえると、それは中国政府が積極的な景気対策を打つかどうかへの関心でもある。

しかし、中国経済は構造的に変化しており、今年秋に予定される国家指導者の交代があっても高成長路線に戻ることはないだろう。そして、これからの中国経済は、石油ショック後の日本経済と同じように、経済成長の中身を量から質に転換し、安定成長を図る道筋を追求することとなろう。

アジア経由で波及する欧州債務危機の影響

足元の中国経済の成長鈍化の大きな要因は、世界経済の成長鈍化にある。中国経済の成長率を内外需別に示すと、外需の成長寄与度が2006年ごろの4%台から足元では1%未満に落ち込んでいる(図表1)。

図表1:中国の実質GDP成長率に占める内外需別寄与度
図表1:中国の実質GDP成長率に占める内外需別寄与度
(注)実質GDP成長率は前年同期比
(出所)中国国家統計局、Oxford Economicsより作成

この外需の成長寄与度の低下だけでも、2006年当時と比べると3%あまりの成長減速要因になる。しかも、中国経済の外需と内需の相関は日本よりも強く、外需の伸び悩みが国内経済を含めて経済全体の成長鈍化の大きな要因になっていることは明らかといえる。

全文は「WEDGE Infinity」にて。

2012年8月30日 WEDGE Infinityに掲載

2013年4月1日掲載