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周波数帯利用実態調査
6. まとめ
本調査では、主にマイクロ波周波数帯域における周波数利用実態を、周波数再配置の可能性に焦点を当てて調査してきたが、 結論的に、現在マイクロ波周波数帯域においては、いくつか「ねらい目」の周波数帯が存在することが明らかになった。
つまり、(1)防衛用・航空・海上等、運輸安全関係用途に利用されていない、(2)免許不要局がない、(3)移動無線局がない(少ない)、(4)無線基地局がそもそも少ない、という条件を満たしている周波数帯である。
これは、最初のサマリーの部分でも触れたように「防衛用無線局を退かすことは極めて難しい」「交通の安全にかかる無線局を退かすことも 極めて難しい」という所、さらに、干渉などの問題が発生する免許不要局、そして、利害関係者が複雑になる移動無線局や、無線局の数が 多い帯域などは、開放することはまずないであろう、という見解を示す。
利用状況一覧のR列をご覧頂きたい。ここに、このような見解に基づき、各周波数を精査した結果、最も開放可能性が高い周波数帯を◎◎、逆にまったく見込みのない周波数帯を×で表記した。その結果、5000-5255GHz、5350-5470GHzが一番可能性が高いと判定した。
なお、本調査は現在可能な限りの資料を入手して行ったものであるが、資料上の限界があり、実際に「どの業者が電波を出しているのか」「その無線局を利用しているのか」といった、個別事業者の事情に基づく部分については調査を行っていない。これはあくまで、本格的な調査に向けての予備調査である。
また、当局の意図・動向も、本調査では扱い切れていないが、注目すべきポイントである。例えば、昨今の審議会の報告書などの最新動向を追いかける等の方法で、これからどのような形で電波割当が行われていくのかを推定することも有用である。(本調査でも、3600Mhz帯に関して、調査結果のみでは○判定をするところであるが、総務省の電波有効利用政策研究会の中間報告書をみると、放送などに利用される中継系固定局の有用性が高く評価されているため、再配置や補償方法の特権が与えられるような文脈を見ることができる。つまり、この報告書によって、今帯域に存在する固定局が重要視されているため、開放可能性が低いと考え、△と評価した。)
今後、実際に担当官僚・業者への、ヒアリングなどを通じて本当に「空いている帯域」があるのかを調査することが、追加的に必要になってくると思われる。
(以上)
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