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IT@RIETI

電波探検隊

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※本プロジェクトは、終了しております。

周波数帯利用実態調査

2. 調査方法

周波数利用状況は、電波の基本的特性や、用途に応じた技術的な側面があり、素人が簡単に調査できる種類のテーマではない。もちろん、前節で述べたとおり、無線愛好家の傍受記録を元に作成した、「周波数帳」(ラジオライフ別冊)のような労作もあるが、基本的に、調査を行うには公表資料の他にも様々な資料を参照する必要がある。

我が国における周波数の実態を示すヒントとなるリソースとしては、まず総務省が保有する「総合無線局管理ファイル」(「パートナー」と呼ばれる周波数データベース)がある。

ただし、パートナーを利用できるのは総務省職員に限られている。(電波利用状況の開示を定めた電波法の改正により、本システムは一般でも利用できるようになる見込みである。しかし、限定的な利用形態となることが予想される)

このシステムが利用できないので、我々は公表されている資料を突き合わせて利用状況を割り出すという手法をとることにした。今回の調査で使用した公表資料は以下のとおりである。

  1. 周波数割当原則

    電波の割り当てはITUにおける国際的な調整がベースとなっており、その結果を踏まえ、周波数の各種業務(固定(特定地点同士の無線通信)、アマチュア(趣味の無線通信)、放送(テレビ・ラジオ等)、陸上移動(携帯電話等)、無線標定(レーダー装置)等)別に、「わが国において無線業務に割り当てることができる周波数の表」が「周波数割当計画」として公開されている。また、総務省電波利用HPで周波数別に割当状況が示された図表(PDF)を「わが国の電波の使用状況(その詳細)」として、入手することができる。
    この表には、周波数帯域ごとに、どの業務に割り当てられ、何の目的で用いられるか、までが記されているが、誰に割り振られているかは読み取れない。

  2. 日本無線局周波数表

    実際に割り当てられた周波数は「日本無線局周波数表」として、最新版が総務省電波利用HPで検索できる。(現在の最新版は平成14年10月30日現在)。
    ただし、これで検索しても利用者の名前は出てこない。また、無免許局が記載されていないことも注意点である。ただし、無線局の緯度・経度が割り出されていること、さらに出力が記載されていることから、民間の愛好者のデータベース等を組み合わせることで、放送局の中継局の位置等を精密に割り出すことが可能である。

  3. 周波数帳(ラジオライフ別冊)

    この周波数帳は公表資料及び、全国の無線愛好者が傍受した情報をベースに作成された、実際に誰がその周波数を使っているのかを知ることのできる最大のリソースである。これには周波数別の割り当て業務、実際の周波数利用状況(利用波数等)もある程度推定できる情報が記載されている。
    ただし、傍受不可能な防衛関係の周波数利用状況、あるいは傍受困難な高周波数帯域(マイクロ波上部)等では、情報があまり入らないために記載内容だけですべてを知ることはできない。

  4. 無線設備規則(総務省令)

    電波法などで定められた規定の実施のために、非常に詳細に無線設備の出力・周波数特性等が決められている省令。情報通信六法や、電波法令抄録などにも掲載されている。
    本文には周波数ごとに設備規則が並んでいる他、別表の資料等も活用すれば、どの用途に用いられているかを割り出すことができる。

調査方法についての検討を踏まえて得られた知見は以下の通りである:

  • 電波割り当ては、総務省職員の職人的技術(勘)により割り振られている。すなわち、論理的な割り当て法則などはおそらく存在していない。
  • 公表資料をつき合わせていけば、ある程度の所までの利用状況の割り出しは可能である。
  • ただし、防衛関係の周波数利用については割り出しは相当難しい。

以上のような知見に基づき、上記資料を組み合わせて調査を行った。その結果は次節に示す。
また調査に当たっては、ヒアリング及び経験的知見も加味して作業を行った。

3. 周波数の利用状況(I)へ>>

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