執筆者 | 佐野 晋平(神戸大学)/安井 健悟(青山学院大学)/鶴 光太郎(ファカルティフェロー)/久米 功一(東洋大学) |
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発行日/NO. | 2024年10月 24-J-022 |
研究プロジェクト | AI時代の雇用・教育改革 |
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概要
本稿は、「全世代的な教育・訓練と認知・非認知能力に関するインターネット調査」の個票データを用いて、小学校から大学進学における教育成果の男女差を実証的に分析した。具体的には、算数・数学の得意度の男女差が年齢とともに拡大するかどうか、高校や大学受験における理数系の科目選択に差があるか、理系学部への進学に差があるかを記述的に示した。分析結果によると、算数・数学の得意度の男女差は小学生、中学校、高校と拡大し、特に成績上位層での差が拡大することが確認された。高校での理数系科目の履修、大学受験における理数系科目の選択、理工系大学への進学には男女差があること、中学時代に数学がとても得意な場合でも理系大学に進学する確率が男女で約18%異なることを示した。このような男女差は、出身地域のジェンダー平等意識の高まりや理工系の大学定員を拡大することにより緩和される可能性を発見した。地域におけるジェンダー平等意識強化や理系定員拡大といった、高等教育への進学を制約する要因の除去が男女格差の削減に効果を持ちうる。