執筆者 | 川上 淳之(東洋大学)/鶴 光太郎(ファカルティフェロー)/久米 功一(東洋大学) |
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発行日/NO. | 2023年10月 23-J-045 |
研究プロジェクト | AI時代の雇用・教育改革 |
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概要
本論文は、経済産業研究所2021年度「Withコロナ・AI時代における新たな働き方に関するインターネット調査」の個票データを用いて、新型コロナウイルスが副業の保有に与えた影響を明らかにする。調査時点に副業をしている雇用者の中で新型コロナウイルスをきっかけとするものは42.8%に及び、その大半は収入減によるものであった。コロナきっかけで副業を必要とする人は、幸福度などのウェルビーイング指標がそうでない人よりも低い傾向がある。コロナ禍以外がきっかけとなる副業では、副業を保有することで副業を希望する人よりもウェルビーイングが高い傾向がみられるが、コロナきっかけによる副業では、その傾向はみられなかった。一方で、正社員の場合は、労働時間の短縮や職場の閉鎖・人員整理にともなう副業の保有は、スキル獲得や転職・独立を志向する傾向がみられた。その点からはコロナ禍による本業の仕事の縮小に対して、自律的にキャリア形成を図る目的で副業が選択されていることも示唆される。