執筆者 | 金本 良嗣(政策研究大学院大学) |
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発行日/NO. | 2022年3月 22-J-013 |
研究プロジェクト | 産業組織に関する基盤的政策研究 |
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備考 |
初版:2022年3月 |
概要
電力システム改革が進行中であるが、その内容は多岐に及び、しかも電力の複雑な技術的特性を反映して、理解は容易でない。また、海外での電力市場改革は日本より10年程度は先行しており、その間の成功と失敗から学ぶことは数多い。本稿の主たる目的は、電力システムの経済学的な側面をごく単純化された電力市場モデルを用いて解説することである。需要が短期的には価格感応的でなく、停電を避けるためには供給側が需要に追随し続けていなければならないという電力市場の特質を組み込むのが、通常のミクロ経済モデルとの相違になる。本稿では不確実性を考慮しない決定論的モデルを用いて、その範囲内で分析可能な短期・長期の基本的な問題を扱う。具体的には、給電(dispatching)、電源の系統接続(network access)、系統増強(transmission expansion)の3つに関して最適解はどういうものであるのか、最適解を市場で達成するためにはどういう市場設計が必要なのかといった問題を考える。