執筆者 | 佐藤 香織 (国士舘大学)/黒田 祥子 (ファカルティフェロー)/大湾 秀雄 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2020年7月 20-P-019 |
研究プロジェクト | 人事施策の生産性効果と雇用システムの変容 |
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概要
2019年には働き方改革関連法として過重労働を抑制するための時間外労働の上限規制が設けられたが、長時間労働を始めとする働き方とメンタルヘルスの関係についての厳密な検証は国内外を通じて必ずしも十分に蓄積されていない。本稿では、働き方とメンタルヘルスに関する先行研究を概観し、そこにみられる課題を指摘したのちに、某製造業企業の勤怠データを用いて働き方とメンタルヘルスとの関係を検証したSato, Kuroda and Owan(2020)を紹介する。同論文は、測定誤差やサンプル脱落が少ない人事パネルデータを用いていることが特徴である。観測不能な個人属性を考慮した上で、4種類の働き方の指標(①残業時間、②深夜勤務時間、③短い勤務間インターバルの頻度、④週末勤務の頻度)とメンタルヘルスの関係を検証した。分析結果は、残業時間だけでなく、職種間の働き方の違いに合った適切な指標を併せ用いて長時間労働を是正していくことの重要性を示唆している。