執筆者 | 荒川 清晟 (コンサルティングフェロー)/野寄 修平 (東京大学) |
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発行日/NO. | 2020年6月 20-J-033 |
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概要
本研究では、国内の市区町村間人口移動を対象に、大都市から地方への人口移動について分析を行った。本研究の目的は、先行研究において、重力モデル等を使用する際に問題となる多重共線性の問題を解決すること、先行研究において使用されている様々な社会・経済的な変数を可能な限り多く同時に分析し、各変数が大都市から地方への人口移動とどのような関連があるかを明らかにすることである。
その結果、本研究では、以下の2点を示した。1点目は、重力モデルによる分析に正則化回帰の1つであるElastic net回帰を用いることで、社会経済的変数のような相関が強いために線形回帰モデルには同時に投入できない変数を同時に扱いつつ、変数選択をすることができることである。さらにElastic net回帰による変数選択でも、重力モデルの基本変数である人口規模、地域間距離は選択され、回帰係数の絶対値は他の変数に比べて大きかった。2点目は、先行研究において使用されている39の説明変数を全てElastic net回帰に投入した際には、21の変数が大都市から地方への人口移動と関連があるとして選択されることである。
今後より多くの変数を用いた分析を行い、パネルデータ解析も含め大都市から地方への移住に影響を与える要因を明らかにすることが求められる。
Published: 荒川清晟, 野寄修平「大都市から地方への移住と社会経済的要因の関連―Elastic net回帰を用いたポアソン重力モデルによる分析―」, 『社会情報学』第11巻3号,19-33, 2023年.
http://www.ssi.or.jp/journal/index.html