誰が去り、誰が残ったのか:金融危機後に日本から帰国したブラジル人のセレクション

執筆者 橋本 由紀 (研究員)
発行日/NO. 2020年4月  20-P-013
研究プロジェクト 日本在住の外国人の就労、移住と家庭に関する実証研究
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概要

本研究では、国勢調査と帰国者向け再就職支援相談情報をデータベース化したNIATREデータを用いて、金融危機後に日本に残留したブラジル人と、母国に戻ったブラジル人の特徴を分析し、不況期に生じた移住労働者の質の変化(セレクション)を捉えようとした。20代以下の若年層や大学卒業以上の高学歴者が多く帰国した可能性や、日本語能力が高くない者、5年未満の滞在者、単身者が早期に帰国した傾向は、世界各国の帰国移民の研究で明らかにされたパターンと大きく異なるものではない。また、高技能者の遅い帰国、非高技能人材の帰国支援金受給傾向、早期帰国や帰国支援金利用が日本での不本意就業と関連していたことは、本研究による新たな発見である。