経済社会構造転換に伴う高齢化政策に関する一考察――中国広東省F市J区の高齢者福祉施設の現地調査に基づく

執筆者 孟 健軍 (客員研究員)
発行日/NO. 2019年4月  19-J-026
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概要

本稿は、中国における経済社会構造転換に伴う社会保障制度体系、とりわけ高齢化政策および高齢化福祉サービスについて総合的に考察するものである。一国の人口高齢化現象は、医療衛生、科学技術、教育理念、ライフスタイルおよび社会福祉などのあらゆる面において進歩かつ最適化をした結果である。しかし、中国における高齢化の進捗状況は、世界に類を見ない高齢人口数、急速な高齢化、地域間および都市農村間の大きな差異性という3つの基本的特徴を持っている。そして、中国政府の高齢化政策は、このような特徴に基づいて、社会保障制度改革を中心に、如何に公平性を維持したまま、効率性および持続性のある制度設計を実現していくかについて様々な試行錯誤を行っている。

本研究は、このような制度設計背景を踏まえて、筆者の広東省F市J区の高齢者福祉施設の現地調査に基づき、中国における高齢化政策および高齢化福祉サービスを考察する。より具体的には、F市J区の高齢者福祉施設における現状と諸問題点を検討しながら、政府による財政支援の必要性と民営施設の重要性について分析し、高齢化福祉制度構築の将来を展望する。