労働規制と技術投資の関係性―労働規制変化による資本投資及び情報化投資への影響の分析

執筆者 田中 健太 (武蔵大学)/古村 聖 (武蔵大学)/馬奈木 俊介 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2018年2月  18-J-006
研究プロジェクト 人工知能等が経済に与える影響研究
ダウンロード/関連リンク

概要

現在、情報化技術、人工知能の急速な発展により、経済の構造や我々の生活が大きく変革することが予想されている。このようなグローバルな経済構造変化に対応するか重要な局面に立たされている状況で、いかに技術投資を加速化させ、より積極的な新技術に対する投資を促すかが必要となる。これまでのさまざまな研究で企業の技術投資(資本投資)に対する要因分析がなされてきた。近年では資本と生産構造上、密接な関係のある労働との関係性に着目し、労働規制の在り方が資本投資に影響する可能性について、理論的、実証的に言及されている。しかしこれまでの先行研究は主に日本と雇用慣行が異なる欧米を分析対象としており、かつ情報化投資と労働規制の関係性については十分に分析されてこなかった。そこで本研究では、日本の労働法規制の変化のなかでも、労働者派遣法の改正と資本投資、および情報化投資との関係性について分析を行う。分析の結果、相対的に正規労働者の規制が非正規労働者の規制に対して強くなる場合には資本投資が増加する可能性が示唆された。一方で、情報化投資や情報化の進展状況と非正規労働者の規制の強さは正の関係性がある結果が示唆された。