自動運転車が生み出す需要と社会的ジレンマ

執筆者 森田 玉雪 (山梨県立大学)/馬奈木 俊介 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2018年1月  18-J-004
研究プロジェクト 人工知能等が経済に与える影響研究
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概要

本稿は、大規模なインターネットアンケート調査を用いて、日本人の自動運転自動車(自動運転車)に対する潜在需要を2つの視点から分析する。
第I部では、運転者が関与する必要のある部分的自動運転と、運転者が関与する必要のない完全自動運転に対する限界支払意思額(WTP)を、コンジョイント形式による表明選好法を用いて明らかにする。その際、ハイブリッドや電気自動車への選好を組み入れた上で消費者の属性を潜在クラスロジットにより5分類し、消費者の異質性をクラス別に示す。
第II部では、自動運転車が社会的ジレンマを生み出すことを検証する。自動運転車に搭載された人工知能が直面せざるを得ない道徳的ジレンマ―運転者が自分を犠牲にして通行人を救うべきか、自分を助けるために通行人を犠牲にするべきかというトロッコ問題―に対する消費者の意識を、米国における先行研究との比較を含めて調査分析する。結果として、消費者の価値観と購買行動の間に一定の差異が生じるため、自動運転の普及が社会的ジレンマを生み出し得ることが指摘される。このことは、アルゴリズム設計や法制度設計を行う上で看過できない問題であるため、今後一層の配慮が必要であるといえる。