執筆者 | 武田 晴人 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2017年12月 17-J-076 |
研究プロジェクト | 産業政策の歴史的研究 |
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概要
1980年代末のFA懇談会の提言を受けて産業機械課を中心として通商産業省が推進したIMS(Intelligent Manufacturing Systems:知的生産システム)は、テクノグローバリズムを提唱し、国際共同研究によって生産技術の向上を実現すべく10年以上にわたって展開された。この政策は、国際共同研究によって非競争的な分野で各国が共有しうる技術的な基盤を作り出すことを目的に推進されたが、同時にこのような形で果たされる国際貢献によって、対日批判を払拭することも企図されていた。
本稿は、このIMSに関する政策展開に関わった通商産業省、国際共同研究に参加した企業、そして学術関係の研究者が残した記録や回想に基づきながら、なぜIMSはその理念を十分に実現することができないままに終幕を迎えたのかを検討する。