地域銀行の店舗ネットワークと経営パフォーマンス

執筆者 近藤 万峰 (愛知学院大学)
発行日/NO. 2017年7月  17-J-045
研究プロジェクト 地方創生に向けて地域金融に期待される役割-地域経済での雇用の質向上に貢献するための金融を目指して-
ダウンロード/関連リンク

概要

本稿では、地域密着型金融行政の下で、地域経済活性化の役割を担うことが期待されている一方、経営環境に厳しさを増しつつある地域銀行に注目し、店舗網の拡大や巨大な店舗ネットワークの維持を通じて顧客を増やそうとする戦略が、自行の経営にとって望ましいものであるかを明らかにすることを目的とした。具体的には、地域銀行の店舗数が、自行の与信業務や利益に及ぼす影響を実証的に分析した。

まず、金融サービスの提供における店舗の効果について分析したところ、店舗数の多い地域銀行ほど、貸出金と中小企業貸出金が高くなっているという結果が得られた。つまり、店舗を多く設置するという戦略は、より多くの顧客と接することを可能にすることを通じて、銀行全体の貸出額を増大させる効果を持っていることとなる。

一方、総合的な利益水準を表すROAとROEに対する店舗の効果について分析したところ、店舗数が、それらにマイナスの効果を及ぼしているという結果が得られた。つまり、コスト・パフォーマンスという側面から評価すると、度を越した店舗ネットワークの拡張(および、その維持)は、地域銀行にむしろマイナスの影響を及ぼす恐れがあるのである。