執筆者 | 五十川 大也 (東京大学) /大橋 弘 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2015年9月 15-J-053 |
研究プロジェクト | 新しい産業政策に関わる基盤的研究 |
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概要
本稿は、2012年および2013年夏季に電力会社から提供された需給調整契約が産業用電力需要に与えた影響を定量化し、そのポテンシャルを評価することを目的とする。東京電力・関西電力管内に工場を持つ企業を対象に行ったアンケート調査の結果と工業統計調査に含まれる各工場の属性に関するデータを接合することで、パネル回帰分析により需給調整契約が与えた影響を推定した。分析の結果、工場の属性によって需給調整契約の効果に大きな差異があり、工場の経済規模や労働生産性が電力料金やピーク電力の削減量に影響することが示唆された。推定結果を用いて、工業統計調査に含まれる工場全てに需給調整契約が提供された場合の平均的な影響を予測したところ、産業需要家の使用電力量とピーク電力が有意に押し下げられることが明らかになった。