執筆者 |
山口 一男 (客員研究員) |
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発行日/NO. | 2014年9月 14-J-046 |
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概要
本稿はホワイトカラ―正社員の男女の所得格差について傾向スコアによる標準化に依拠するDFL法を用いて要素分解をする。結果は年齢、学歴、勤続年数の人的資本3変数の男女差で男女所得格差の35%を、職業、労働時間、職階の3変数合わせて追加の43%を、合計6変数で格差の78%を説明することを示す。単独では職階の男女差が最も大きな説明力を持つ。また用いた傾向スコアの妥当性について診断を行うとともに、多変量線形回帰分析に基づく説明できない格差の推定はかなりのバイアスを生むことも示す。また6変数の男女差で説明できない部分についての格差について、人的資本について女性が男性と同等となる場合、および職階も同等となる場合の2つの仮想の場合に所得格差が減る度合いが、年齢、学歴、職業、労働時間、職階の各カテゴリー間で異なることを明らかにし、以下の結論を得た。(1)男女格差が年齢につれて増大する傾向は、40歳代以降は年齢に伴う男女の職階格差の増大でほとんど説明できる。(2)大卒は高卒や短大・高専卒に比べ、今後結婚育児離職率が減れば、より大きな格差解消が望める。(3)女性が多数の事務職では人的資本や職階が男女で同じになっても男女の所得格差が大きく残る。(4)所得に関する男女の機会の平等は課長以上の職に就く男女の間では、かなり実現されている。