グローバル・ニッチトップ企業に代表される優れたものづくり中小・中堅企業の研究―日本のものづくりニッチトップ企業に関するアンケート調査結果を中心に―

執筆者 細谷 祐二  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2013年3月  13-J-007
研究プロジェクト 優れた中小企業(Excellent SMEs)の経営戦略と外部環境との相互作用に関する研究
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概要

本稿は、日本がこれまで高度に発展した製造業集積であったことを反映し、全国に広く分布している競争力の高い独自の製品等を保有する独立型の中小・中堅企業をニッチトップ型企業(NT型企業)としてとらえ、その実態を明らかにすることを目的としている。このため、経済産業研究所では、2011年に経済産業省が行った特に優れた日本を代表するNT型の企業31社を対象とするインタビュー調査結果を踏まえ、2012年7月から8月にかけて全国のNT型企業2000社を対象としてアンケート調査を実施した。本稿は主にこのアンケート調査の統計的解析結果に基づく論考である。

まずランダムサンプルとの比較による統計的検定により、NT型企業が他の製造業に属する中小企業一般と区別される特異な中小・中堅企業群として存在することが強く示唆された。次にNT型企業のうちに、特に製品開発能力が高いなど優れたパフォーマンスを示すグローバル・ニッチトップ企業(GNT企業)、それよりも社歴が短く規模も小さいが自社を取り巻く企業や大学といったプレーヤーや国の各種施策等の外部資源の活用に極めて積極的な中小企業(揃い踏み企業)、さらに若くて小さいNT型企業等の特色のある集団が存在することを各種の多変量解析手法を用いて明らかにした。その上で、GNT企業を成功企業のイメージとして、それに続く企業を如何にGNT企業に向けて成長・発展させられるかを中心に政策的インプリケーションを論じた。