東日本大震災の経済的影響-過去の災害との比較、サプライチェーンの寸断効果、電力供給制約の影響-

執筆者 徳井 丞次  (ファカルティフェロー) /荒井 信幸 (和歌山大学)/川崎 一泰 (東海大学)/宮川 努  (ファカルティフェロー) /深尾 京司  (ファカルティフェロー) /新井 園枝 (コンサルティングフェロー)/枝村 一磨 (東北大学)/児玉 直美 (コンサルティングフェロー)/野口 尚洋 (リサーチアシスタント / 一橋大学)
発行日/NO. 2012年3月  12-P-004
研究プロジェクト 地域別生産データベースの構築と東日本大震災後の経済構造変化
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概要

本稿は、東日本大震災の経済的影響を分析したもので、次の3つの内容から構成されている。第1章では、既存研究をサーベイして震災被害の概念を整理するとともに、今回の東日本大震災の経済的被害を、1995年に発生した阪神淡路大震災や、その他の世界の大災害の被害と比較している。第2章では、東日本大震災の産業別被害額の大きさを推計するとともに、それによって生じたサプライチェーン途絶効果の大きさを、地域間産業連関表を使って、産業連関の供給側の波及である前方連関の概念に基づき、製造業の投入におけるボトルネック効果も考慮しつつ分析している。第3章では、福島第一原発の事故に伴い国内の原子力発電の稼働に深刻な困難が予想されるようになったことなどから、短期的な電力制約や、発電方法の代替によって生じる電力価格上昇が、国内経済にどのような影響を与えるかを分析している。