常勤者の過剰就業とワーク・ファミリー・コンフリクト

執筆者 山口 一男  (客員研究員)
発行日/NO. 2010年1月  10-J-008
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概要

本稿は、常勤の雇用者の中での過剰就業について理論的検討を加え、その決定要因を分析し、ワーク・ファミリー・コンフリクトの決定要因を明らかにし、さらに過剰就業とワーク・ファミリー・コンフリクトとの関連を分析する。また、過剰就業と職場の柔軟さの欠如に関して、女性の管理職と「勤め人の専門職」が最もワークライフバランスの達成しにくい状況にあることを明らかにする。ワーク・ファミリー・コンフリクトについては「仕事のために家族の役割が充分はたせない」というWIF指標と、「家族のために仕事の役割が充分はたせない」というFIW指標の決定要因に関して、前者には職や職場のあり方が、後者には家族のあり方がどのように影響するかを明らかにする。特にWIF指標については、就業時間の影響を超えて、過剰就業と職場の柔軟性の欠如が大きく関連することを示す。