執筆者 |
徳井丞次 (信州大学) /牧野達治 (一橋大学経済研究所) /高橋陽子 (日本学術振興会) |
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発行日/NO. | 2009年6月 09-J-018 |
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概要
本稿では、1981年から2000年における『工業統計表』個票を利用した生産関数の推定により、自営業者(自営業主+家族従業者)と雇用者の生産性格差を計測した。その結果、男性・雇用者と比較した場合、1) 男性・自営業者の生産性の方が有意に高い、2) 女性・自営業者の生産性については有意な格差が認められない、ということを確認した。
計測された自営業者の生産性格差をJIPデータベース2006年版労働データに適用し、製造業の労働投入指数、労働の質指数を再推計すると、これまでに推計されている労働の質指数は、1970-2002年における伸び率で見ると0.43%ポイントほど下方修正される。また、川口他(2007)の雇用者に関する生産性・賃金格差の推定結果を利用すると、下方修正の度合いは0.53%ポイントと更に大きくなる。その結果、これまでに推計されているTFP上昇率は0.4%ポイント程度過小評価されていた、ということが分かった。