執筆者 |
西村 弓 (上智大学) |
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発行日/NO. | 2008年10月 08-J-032 |
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概要
投資紛争においては、投資受入国内で行われた、外国投資家を侵害すると主張される行為が、受入国の行為と評価されうるかが1つの争点となる。投資協定違反を行い、当該違反についての国際法上の責任を負うのは、協定の当事者である締約国である。しかし、国家は抽象的存在であり、違反と主張される具体的な行為を行うのは種々の機関や団体・個人であるため、それらのうちいずれの行為を国家の行為とみなすことができるかについては、一定の基準が必要とされるからである。たとえば、地方政府・国営企業・国家から業務委託を受けた民間団体等による作為・不作為が投資家を侵害する際、これら侵害行為がいかなる場合に国家による投資協定違反と評価されるかが問題となる。本稿は、投資紛争において投資家を侵害すると主張される行為がいかなる条件で国家に帰属すると評価されるのかについて検討するものである。