イノベーションと金融構造

執筆者 柳川 範之  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2007年3月  07-J-004
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概要

本稿では、イノベーションを促進させていくうえで、どのような企業金融あるいは資金調達の仕組みが望ましいか、どのような組織構造が重要かについて考察している。一見すると、イノベーションを引き起こすために、技術は重要であるものの資金調達の問題は直接的には無関係のようにみえる。しかし、資金調達の仕方は企業のコーポレート・ガバナンスの仕組みに大きな影響力を持ち、研究開発のインセンティブなどに大きな影響を与える。イノベーションを促進させていくうえでは、人的資産を蓄積・活用していくことが重要であり、そのためには、企業金融の工夫をし、人的資産を蓄積するインセンティブを間接的に作り出す必要がある。また、人的資産を蓄積した人がリーダーシップを発揮できる組織構造も重要となる。さらに、資金提供者である金融機関側にも人的資産を蓄積する重要性が今後は求められ、そのためには資産の流動化・証券化を促進していくことが必要である。