執筆者 |
玉田 俊平太 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2007年3月 07-J-002 |
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概要
ある課題を解決するための技術が発明されるプロセスでは発明者の間でコミュニケーションが行われる。情報通信技術の進歩により遠隔地間の形式知のコミュニケーションは容易になった。それでは、密度の高いコミュニケーションや暗黙知の交換が求められると考えられる発明のような行為は、どのくらい遠隔地に住む発明者間で行われているのであろうか。本研究においては、バイオ分野特許の発明者の住所から発明者間の距離を計測し、特許発明者住所と当該特許に引用されている論文研究機関の住所から形式知の伝達距離を求め、両者の比較を行った。その結果、発明者間距離の中央値は約14kmであり、形式知の伝達距離の中央値4300kmよりはるかに短かった。この事実は、グローバル化が進んだ現在においても、特定の国や地域の近距離に頭脳が集積していることが、その国や地域の産業競争力強化にとって重要であることを示唆するものであり、今後の科学技術政策や地域政策の立案に際して参考となるものと考えられる。