執筆者 |
加納正二 (大阪府立大学経済学部) |
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発行日/NO. | 2006年2月 06-J-005 |
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概要
本稿の目的は、中小企業と金融機関のリレーションシップが終了する場合に注目し、中小企業のメインバンクの変更について実証分析を行い、メインバンクを変更する中小企業の特徴を明らかにし、わが国のリレーションシップバンキングについて再考することにある。全国47都道府県から中小企業を抽出し、同一中小企業を追跡調査し、1980-1990年、および1990-2000年の期間について各々、メインバンク変更有無についてprobit modelによる分析を行った結果、成長性が高く、操業年数が短く、企業規模が小さく、メインバンクのパフォーマンスが低く、取引銀行数が多く、当該地域の銀行間競争が激しいという特徴をもった中小企業がメインバンクを変更する傾向にあることがわかった。
昨今、地域密着型金融の機能強化が問われているが、必ずしも長期継続的な関係を善しとするのではなく、地域金融における質的な機能向上のビジネスモデルの必要性が示唆される。