効率性仮説と市場構造=行動=成果仮説:再訪

執筆者 筒井義郎  (ファカルティフェロー/大阪大学) /佐竹光彦  (龍谷大学) /内田浩史  (和歌山大学)
発行日/NO. 2006年1月  06-J-001
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概要

本稿は1974年以降2001年度までの都市銀行を対象として、効率性仮説が成立するかどうかを検証した。従来は、効率性仮説は市場構造=行動=成果仮説(SCP仮説)との対比で、利潤や金利といった市場成果が市場集中度と市場シェアのどちらによってよりよく説明されるか、という枠組みで検証することが多かった。われわれはその枠組みの問題を指摘し、効率性仮説を「より効率的な銀行がより成長する」という命題に集約して、より直接的に検証した。また、SCP仮説を「より成長した銀行がより非効率的になる」と定式化して検証した。まず、パネルデータを用いて銀行の組織的非効率性と規模の不経済性を推定した。次に、その推定値が次年度の銀行規模にどのような影響を与えるか、また、銀行の成長にどのような影響を受けるか、を吟味した。推定結果は、(1)組織的効率性を用いた場合には効率性仮説は支持されるが、規模の不経済性を用いた場合には支持されない。(2)SCP仮説は必ずしも支持されない、ことを示している。