| 執筆者 | 小林孝雄  (ファカルティフェロー) /池田亮一  (東京大学大学院経済学研究科 院生) | 
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| 発行日/NO. | 2005年6月 05-J-022 | 
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概要
この論文では構造型アプローチによる企業の信用リスク評価の新たなフレームワークを提示する。一般に、企業の抱える債務は、返済までの期間がより近い短期債務とより遠い長期債務に分けられ、短期債務の割合が大きいほど企業の短期的信用リスクは大きくなる。しかし、既存モデルの多くは債務を全て単一の満期にして考えるためそのような分析ができなかった。この論文では債務を短期債務と長期債務の二つに分けてインプットすることにより、短期・長期の信用リスクが同時に求められ、かつ短期債務の割合が多いほど短期的な信用リスクが大きくなるモデルを構築する。
また、新たなモデルでは、もし企業が債務を返済できない場合に債権者が返済を猶予すると、債券の価値が上がる場合がある。これにより、債権者が保有する債券全体の価値を最大化するように行動すると新たに仮定した場合、短期債務と長期債務の債権者が同一であるかどうかによって、異なる信用リスクが求められるモデルになる。
 
			 
		

