都心の容積率緩和の費用便益
ITSによる混雑料金を考慮に入れた分析

執筆者 八田達夫  (ファカルティフェロー) /久米良昭  (那須大学都市経済学部) /唐渡広志  (富山大学経済学部)
発行日/NO. 2005年3月  05-J-016
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概要

都市生産の基盤である都心のオフィスビジネスには集積の利益がある。このため、都心のオフィスビルの容積率を緩和して、都心におけるオフィス集中を促進すると、都心の生産性が高まる。その一方で、オフィスビルの都心集中は、交通の混雑を引き起こす。

この混雑を抑制するため、現行では都心の容積率が規制されている。ただしこの混雑抑制手段は、都心の集積を妨げ、生産性を下げるという副作用を持っている。

都心の生産性の犠牲をより少なくして混雑を抑制する方法がある。(1)都心の居住用ビルの容積率を増大させて都心居住を促進し、その分通勤鉄道客を減らす方法と、(2)ITSを用いたロードプライシングを用いて、道路混雑を解消する方法である。副作用の少ないこの2つの混雑抑制手段を同時に行うことで、都心の土地の現状より有効な利用を図ることができる。