執筆者 |
山口一男 (客員研究員) |
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発行日/NO. | 2004年12月 04-J-045 |
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概要
わが国で少子化を促進してきた主な原因については女性の非婚化と晩婚化であるというのが人口学者の結論である。非婚化・晩婚化は急激な少子化を経験してきた韓国や南欧諸国にも当てはまる。しかし一方日本を含めてこれらの国々は米国や他の西欧諸国に比べ家庭での妻の家事育児の負担度が高く、「家族に優しい」職場環境も比較的整わず、出産による離職後の再就職にハンディの大きい国々でもある。少子化はこういった既婚女性を取り巻く社会環境にも大きく影響される。
本稿は家計経済研究所の「消費生活についてのパネル調査」データの分析を通じて、家庭や職場などの社会環境が既婚女性の出生意向と出生行動にどう影響しているかを分析し、その分析結果に基づいて現在の急激な少子化をより緩やかなものに変えていくための、家庭における夫の役割、職場の役割、政府の役割、および社会や地域の役割について論ずる。