国と地方:政府間財政関係の再設計

執筆者 土居丈朗  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2004年3月  04-J-016
ダウンロード/関連リンク

概要

本稿は、2003年6月に出された「三位一体改革」の内容を踏まえて、現行の地方財政制度の問題点を明らかにし、今後の地方分権改革の進め方、国と地方の財政関係の再設計の具体的手順について論じる。「三位一体改革」には陥る恐れのある難点について言及する。「三位一体改革」で打ち出した税源移譲に関して、地方分権を進めるためには地方税の拡充は不可欠だが、税源移譲では目的を貫徹できないから、課税自主権の(実質的な)移譲が必要であることを述べつつ、分権化された地方自治体が課税するのにふさわしい税目について言及する。また、現行の地方債制度では、借り手意識を生まず放漫財政を助長している問題点を指摘し、今後必要な地方債制度の改革について述べる。また、自治体の破綻法制のあり方についても言及する。さらに、現行の地方交付税制度と地方債制度との関連で相互補完的な問題点を踏まえ、今後必要な地方交付税制度の改革について述べる。最後に、地方分権を推進するために求められる今後の改革手順を具体的に論じる。