財政改革の社会システム論的アプローチ

執筆者 横山禎徳  (上席研究員)
発行日/NO. 2004年3月  04-J-015
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概要

現在の日本にとって財政改革は不可欠であるとの理解は十分あるにも関わらず対策の積極的実施が出てこない。財政改革とは歳入を増やし歳出を減らすことに尽きるが、そのための痛みを誰も感じたくないのが先延ばしの原因だ。その状況から脱し、具体的行動を速やかに起こすためには戦略が必要だ。そして、その要は「構造変化」に着目し、高い達成目標を設定し、それと現状とのギャップを埋めるための「社会システム」論的アプローチを導入することだ。それを具体的に当てはめる分野として、歳入側では税の捕捉率を改善する「社会システム」、高齢化という「構造変化」に対応する健康・医療、資産運用、観光分野のシステム制約の除去、そして、企業、消費者、政府の三者が得をする消費税増税のシステムをデザインする。歳出側では縦割り行政の予算獲得体質に対して「社会システム」的横串を導入することによって消費者へのコスト・パーフォーマンスのよい価値提供の評価を可能にする。それらを担う40歳代の官僚をマスターマインドとして訓練し、内閣府に配置する。