経済活力の視点からみた税制改革

執筆者 坂田一郎  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2004年3月  04-J-012
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概要

財政の長期的な予算制約や社会保障制度の再建を考え方場合、今後、増税や社会保障関連の負担増が不可避である。国民や企業の負担増に伴い経済の活力低下が懸念されるが、活力を維持することが出来なければ、財政規律の回復に必要な増収を実現することも出来ない。従って、負担増加に先立って、経済活力を高める方向での税制改革を実行する必要がある。本稿はまず、法人関連の税制に焦点を当てながら、改革のニーズが、個別業種の特性を反映したものから、業種横断的なものへと変質しつつあり、それに伴って、税制の決定プロセスに大きな変化が生じていることを示す。次ぎに、それを踏まえ、新たな改革の理念の導入を提唱する。具体的には、「税制インフラの改革」と「税を利用した国家投資」の2領域に分別すること、変革対応性という概念の導入や個別理念の再編・明確化を図ること等を論じる。また、新しい理念に適した税制改正プロセスのあり方について検討する。最後に、改革理念毎に、今後3年程度の間に求められる改革の具体的な課題を示す。例えば、事業体区分の大胆な見直しや税、会計、商法の3軸を俯瞰した制度改革である。