執筆者 |
植杉威一郎 (研究員) |
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発行日/NO. | 2004年1月 04-J-001 |
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概要
企業の資金調達手段として重要な位置を占める企業間信用について、中小企業庁が実施した金融環境実態調査の個票データを利用し、その利用状況、金融機関などからの借入金との関係を分析した。その結果、民間信用調査機関作成の企業評点や売上高が悪化するに伴い、負債側の企業間信用である買入債務のシェアが落ち込み、金融機関などからの借入金のシェアが上昇するという意味での代替関係があることが分かった。更に、企業間信用は商取引に連動することに着目し、仕入高の変化を調整した後の買入債務の伸び率を算出すると、借入金の伸び率の動きに似ていることが示された。これは、苦境に陥っている企業に対しては、企業間信用を提供する企業も、取引減少分以上の与信引揚げを行っていないと解釈でき、企業間信用と借入金との代替関係に一定の留保を付けるものと考えられる。