重点4技術分野におけるサイエンスリンケージの計測

執筆者 玉田俊平太  (研究員) /児玉文雄  (ファカルティフェロー) /玄場公規
発行日/NO. 2003年11月  03-J-016
ダウンロード/関連リンク

概要

特許1件あたりの引用論文等の数、すなわち「サイエンスリンケージ」は、技術に科学が与えている影響を理解するために有効な指標と考えられている。本稿では、これまであまり研究されてこなかった日本特許を対象とし、科学技術基本計画において重点分野とされた、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、IT、環境の4つの技術分野におけるサイエンスリンケージの計測を行った。その結果、日本特許のサイエンスリンケージは、技術分野によって大きく異なっており、バイオテクノロジーが突出して多く、ナノテクがそれに続き、ITと環境技術は少ないという一定の傾向を持つことが明らかとなった。これは、特許権者の国籍にかかわらず同じ傾向であった。また、特許一件当たりの請求項の数によってコントロールした後も変わらなかった。この事実は、分野によって技術が科学から受ける影響に違いがある可能性を示唆するものであり、今後の科学技術政策立案に際し、インプリケーションを与えうるものと考えられる。