日本の技術導入管理政策と企業パフォーマンス

執筆者 岡崎哲二  (ファカルティフェロー) /清田耕造  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2003年9月  03-J-011
ダウンロード/関連リンク

概要

本論文は技術導入の政策的管理の影響を企業レベルのデータによって定量的に分析したものである.分析の対象期間は,技術導入管理の段階的な緩和期(1961年,1968年)を含む1956年から1970年の15年間である.分析に利用したデータのうち企業別の技術導入に関する情報は日本経済調査協議会『企業別外資導入総覧』1973年版から,また企業の財務・従業員情報は日本開発銀行データベース(原データは各社『有価証券報告書』)から得た.分析の結果,技術導入規制が企業の技術導入を実効的に制約していたことが明らかになった.また技術導入は導入企業の付加価値,労働生産性,資本・労働比率,研究開発投資を促進する効果を持ったことも確認された.TFPについては,資本労働比率と研究開発投資を介して間接的にそれを高める効果があった.ただし,これらの効果は技術導入規制が緩和される以前にかぎって観察された