執筆者 |
伊藤 秀史 (ファカルティフェロー) /共著 菊谷達弥/共著 林田修 |
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発行日/NO. | 2003年3月 03-J-005 |
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概要
本稿の目的は親会社による子会社のガバナンスを実証的に分析することにある。われわれがとりわけ注目するのは,企業グループの中核にある大企業が事業持株会社であるという事実である。最近純粋持株会社が解禁されたとはいえ,中核企業が持株会社に特化しているよりもむしろ,子会社・関連会社の持株会社であると同時に自身も事業会社として複数の事業を経営している方が圧倒的に多い。この特徴は,資本関係以外にも,モノ (製品・サービス),カネ (資金),ヒト (従業員) の多様な関係を生み出す。そのような関係はガバナンスにどのような効果をもたらすのだろうか。これが本稿の中心となる設問である。この設問に対して,インセンティブ・モデルと交渉モデルに基づく理論仮説を,独自のアンケート調査によって得られたデータを用いて実証分析を行う。