失われた1990 年代、日本産業に何が起こったのか?
-企業の参入退出と全要素生産性-

執筆者 西村 清彦  (ファカルティフェロー) /中島隆信/清田 耕造
発行日/NO. 2003年1月  03-J-002
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概要

本論文は,日本企業を対象として,企業の生産性を参入・退出という視点から分析したものである.データは経済産業省経済産業政策局調査統計部によって整備されている『企業活動基本調査報告書』の個票データベースであり,分析の期間は1994年度から1998年度までである.分析の結果,1996年以降,非効率な企業が存続し,効率的な企業が撤退するという奇妙な現象,いわば「市場の自然淘汰機能の崩壊」が起こっていることが明らかになった.また,この現象は,特に参入直後の若い企業に生じており,さらに96年以降のマクロレベルの生産性の落ち込みに影響を及ぼしていることも確認された.本論文の結果は,1996年以降,日本の市場が正常な機能を失っていることを示唆するものである.