執筆者 |
池田 信夫 (上席研究員) /共著 林紘一郎 |
---|---|
発行日/NO. | 2002年8月 02-J-013 |
ダウンロード/関連リンク |
概要
従来の通信政策では、電話や放送など垂直統合型の企業をモデルとして規制が行われてきたが、インターネットはネットワークをコモンズ(共有資源)とすることによって高い効率と急速な技術革新を実現した。資源の共有は、従来の経済学では非効率とされてきたが、最近の契約理論は、プラットフォーム的な情報については共同所有が効率的になりうることを明らかにした。
電波政策においては、固有の周波数を占有する従来の無線技術に代わって、広い帯域を共有して高速の通信を実現する無線LANが登場し、コモンズ型の電波政策への転換が求められている。通信規制においても、線路敷設権(rights of way)をサービスや物理的な設備から「水平分離」して共有する制度が必要である。また著作権においても過度の権利保護はネットワークにおける情報流通を阻害するので、情報をコモンズとして共有する制度が多様な形で検討されている。