日本企業の分社比戦略と権限移譲:アンケート調査による実態報告

執筆者 伊藤 秀史/菊各 達弥/林田 修
発行日/NO. 1997年2月  97-DOJ-79
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概要

企業が一部の事業を本体から分離させ、 子会社・関連会社等の別会社として経営する「分社化」戦略は、日本企業にとっては重要な組織編成のあり方である。なぜ日本企業は分社比するのだろうか?分社化することで何が変化するのだろうか?なぜ別会社化することと同様の効果を、組織内部で、たとえば新たな事業部を追加することで得られないのだろうか?本稿は以上のような間題意識に基づいて、1996年3月に我々が実施したアンケート調査の概要報告である。アンケートの対象は、ひとつの大企業を中核として、その大企業と密接な関係のある企業群からなる「企業グループ」である。我々が特に重視するのは中核企業とグループ企業の間の権限委譲の程度で、企業内部の事業部の場合と別会社の場合の相違、資本関係・資金調達関係・取引関係・人的結びつきの効果について詳しく報告している。本稿は日本企業の分社化戦略の実体と効果、および「企業の境界ほどのように決まるのか」という本質的問題を分折するための予備的考察と位置づけられる。