執筆者 | 中富 道隆(コンサルティングフェロー) |
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発行日/NO. | 2025年4月 25-P-007 |
研究プロジェクト | 世界経済の構造変化と日本経済:企業と政府の対応 |
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概要
WTOメンバーの拡大と多様化、経済的利害の複雑化と対立、経済安全保障要請の台頭等の中で、コンセンサスを基礎とするWTOにおけるルール作りは停滞し混迷を深めており、一方的措置や保護主義の懸念が増大している。
こうした環境下で2018年からWTOではJSIの下で、複数国間合意の重要性に関心が集まり、一定の成果を生んでいる。
また、WTO発足以来の通商合意全体を見ても、複数国間合意が基礎と言っても過言ではない。
本稿では、複数国間合意が注目される背景、その定義と外延、複数国間合意実現の条件・要因、WTOルールへの貢献とマルチ化の道筋、そのポテンシャルと限界について、実例分析を踏まえて論じる。また、JSI(Joint Statement Initiatives)の現状と今後の課題、WTOの意思決定問題についても触れる。