執筆者 | 小林 庸平(コンサルティングフェロー)/内山 融(ファカルティフェロー)/川瀬 仁志(総務省)/尾谷 祐樹(デジタル庁) |
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発行日/NO. | 2024年7月 24-P-008 |
研究プロジェクト | 日本におけるエビデンスに基づく政策形成の実装 |
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概要
英国政府では、近年、政策形成や予算編成における政策評価の結果の活用や、政策の執行前からの評価計画策定の動きが進んでいる。これまで英国のEBPMでは予算要求を行う際に行われる費用便益分析に基づく事前評価が中心的であったが、事前評価における因果エビデンスの参照や、事後評価の政策形成への組み込みも重視されてきているのである。本稿では、財務省や他の各省に政策評価についての助言を行う組織として2021年に設置された政策評価タスクフォース(Evaluation Task Force, ETF)を中心に、そうした動きを解説する。まず会計検査院(National Audit Office, NAO)の報告書に基づき英国政府における評価の実施状況等を見た上で、EBPMに関する体制の改革として、政策分析を担う専門職グループである分析ファンクションの設置と、政策評価のガイドラインであるマジェンタブックの大幅改訂を取り上げる。ETFについては、同組織の幹部に対して行ったインタビューに大きく依りつつ、その導入に至る経緯、業務の概要、具体的な活動等について明らかにする。最後に、今後の課題と日本への示唆を整理する。