外国人と日本人の人口分布の比較:地方の労働力を支える技能実習生

執筆者 橋本 由紀(研究員(政策エコノミスト))/伊藤 弘紀(横浜国立大学)/近本 海瑠(一橋大学)
発行日/NO. 2023年8月  23-P-015
研究プロジェクト 人手不足社会における外国人雇用と技術革新に関する課題の実証研究
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概要

本研究では、国勢調査、住民基本台帳、在留外国人統計を地域別に集計したデータを用いて、外国人と日本人の居住と移動パターンを比較する。分析の結果、日本人は小規模自治体ほど人口が減少する発散成長のパターンが観察された。外国人については、日本人とは異なり、2005年時点で外国人人口が少なかった自治体ほど居住者や労働者が増加する収束成長のパターンが観察された。さらに地域を分類した分析からは、現業労働者比率、第1-2次産業での就業者比率、新規入国者比率が多い人口規模の少ない自治体で外国人が大きく増加していたことがわかった。これらの要素を全て満たす外国人グループは、技能実習生であり、地方部の小規模自治体の人口や労働力は、技能実習生の増加によって支えられていた可能性が高い。制度改正によって技能実習生の転職が柔軟に認められるようになれば、外国人の居住地選択が変化する可能性もある。技能がより高く評価される都市部での就労を望み、地方部から都市部の企業に転籍する外国人が増えれば、地方部の労働力はより深刻に不足するかもしれない。